難関中学・高校入試問題解説 2017

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開成高校

開成高校

 開成高の合格者数は5年前は160~170名でした。4年前の合格者数は185名。そして3年前、合格者数を初めて200人の大台にのせました。開成高校の合格者が4年前から増え始めたのは、都立高校、特に日比谷高の影響があります。日比谷高校の昨年の東大合格者数は53名、今年は45名。公立高校の東大合格者数の日本一です(土浦一高は20名で6位)。近年、開成高と日比谷高校を併願するケースが増えている状況があります。
 今年の開成高の志願者は531名で、昨年に比べ114名の志願者減でした。慶應義塾高が入試日を開成高校と同じ2月10日に変更したことの影響と思われます。

開成高校

英語

 時間は50分で、そのうちリスニングが11分。筆記にかけられる時間は39分ということになる。大問3~5の語彙・文法問題は以前ほどの難易度ではなく、10分以内で9割前後は正解したい。残りの時間で長文を2題解答することになるが、英文も問いもやさしいとは言えない。大学センター試験で7~8割、英検2級に合格するレベルの語彙・文法力を身につけたうえで、読解の精度とスピードを上げていく必要がある。
  1 長文読解。「母が亡くなる前に送った手紙を受け取ったが、その数年後もまだ開封していないパイロットの息子」の話。2 長文読解。「紅茶のいれ方」に関する文章。3 英文の中から、文法上、または語法上、誤りのないものを2つ選ぶ問題。4 各組の英文がほぼ同じ内容になるように、( )に入る最も適切な1語を書く問題。5 各組の英文の( )に、発音は同じだがつづりが異なる語を入れる問題。6 リスニング。本年度より、リスニング問題のスクリプトが同校のホームページで試験当日夕刻以降に公開されることになった。

数学

 大問4題で構成され、今年は 1 が5年続けて小問集合、2 が作図問題、3 が空間図形、4 が動点の問題が出題された。基本的にはすべての問題について解法を答える、記述形式になっている。昨年度は65行もある長文問題が出題され、世間を騒がせたが、今年はそれ以前の出題形式に戻った。
 必ず出題される特定の分野がなく、証明、作図、グラフを書かせる問題などランダムに出題される。年度によっても難度に差があるため、この学校だけでなく、他の難関校の入試問題に取り組み、幅広く経験を積んでおくことが必要である。また、受験生が単に知識として捉えがちなものの成り立ちについて説明する問題も最近出題が目立つ。教科書に載っている用語や定理は正しく理解するだけでなく、定理そのものの証明はもちろん、問題に関連する事象・背景などを合わせて考えられるようにしておきたい。

国語

 大問3題構成。一 説明文(「下り坂をそろそろと下る」平田 オリザ)、二 小説文(「コンビニ人間」村田 沙耶香)、三 古文(「更科紀行」松尾 芭蕉)。出題形式は例年通り。中学受験と同様、読解問題はすべて字数指定のない記述形式。大問1の小問数は3つ、大問2の小問数は3つ、大問3の小問数は3つのわずか9問勝負。東京大学入試を意識した出題形式。文章総字数は近年の傾向どおり、難関校にしては控えめ。記述総字数400字台も例年どおりで、全体的なボリュームに変化はなく、平均点(合格者平均53.5点/受験者平均45.3点)も見事に昨年とほぼ同じ(昨年度合格者平均54.6点/昨年度受験者平均43.9点)。
 一 の説明文は劇作家、平田オリザによる地域の自立再生の話。小問1の漢字の書き取りは「道路のエンシン」「中央資本にシュウダツされる」「町全体をウルオす」など難しいものばかり。漢字テストにしっかり取り組むことが肝要だ。残りの2問は記述。だが、文章中の言葉をすべて使うことができる比較的容易なものである。本校合格にはこの記述の正解が不可欠だ。二 の小説文は口先だけで行動が伴わない若者と言葉の裏を読むことができず、素直に相手の言うことを聞いてしまう主人公の話。2016年芥川賞を受賞した「コンビニ人間」が早くも採用された。小問3つはすべて記述問題。ただ単に文章中の言葉を使えば書けるものは一つもない。自分の言葉で内容をまとめる必要がある。読み取るべき部分は明らかだが、自分の言葉でまとめるのは至難の業という、開成入試の特徴がよく表れた難問。授業内で自分の言葉でまとめる問題を数多くこなすので、真面目に普段の宿題に取り組んだ者のみが解答することができる問題である。三 の古文は毎年近世のものが出題されている。江戸時代のものとはいえ中学生には難しく、合格者でも半分の50点ほどしか取れない理由はこの古文にあると言えよう。芭蕉の俳句「あの中に蒔絵書きたし宿の月」この鑑賞文を書けという記述問題に答えるのは至難の業。昨年は短歌の鑑賞文を書けという問題が出題された。鑑賞文対策も授業内でしっかり取り組むので安心してほしい。

理科

 大設問4題、小設問41問の出題であった。例年、分野による出題の偏りはなく、物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題される。また、29年度入試の受験者平均38.7点、合格者平均41.9点(50点満点)は例年と比べても3点程高く、高得点勝負の入試となった。1 は「放射線」からの出題であった。この単元が出題されることは、非常に稀で面食らった受験生も多く見られた。2 は「生物総合」からの出題であった。食物連鎖を含め基本的な出題が多く、全問正解したい大設問であった。3 は「気体の性質」からの出題であった。工業的なアンモニアの製法など、初見の問題も見られるが、十分対応できる設問であった。大問4は「地学総合」からの出題であった。基本的な設問が多く、得点差が付き難い大設問となった。
 全体として、例年通りの難易度であった。勉強法としては、特に難問を解く必要は無く、確実に得点を取るために、全国公立入試問題の数多く解くことで地力をつける事が必要である。点数の差が付きやすい物理に多くの時間をかけるとよいだろう。

社会

 大問構成は、例年通り 1 歴史、2 地理、3 公民の3題。総設問数44題。以前はあまり出題されなかった文章記述問題が出題され、EUとASEANの政治的違いを文章記述するという、時事問題にからめて詳細に理解しておく必要がある難問であった。
  1 は日本と他国との関係に関する歴史が出題された。宋書倭国伝の内容と第1回内国勧業博覧会の行われた場所を答えるという難問が出題されたが、その他は開成高受験者なら当然理解しておくべき基本問題。このような問題をどれだけ確実に得点できるかが合格の鍵となる。2 はEU とASEAN について国際関係を絡ませた地理の問題。先ほどの文章記述の難問以外にも、社会が得意な生徒でも知らないような難問が多数出題されている。しかし、地理の知識と時事問題の知識を融合し活用すれば解答にたどり着ける問題となっており、このあたりの問題が解けるかが開成高校合否を分ける問題になる。3 は日本の人口問題に絡めた公民の問題。ニュースを意識的に見ていないと解答できない将来の日本人口や老年人口割合を問う問題などやや難しい問題もあるが、公民の基礎事項をおさえ近年の時事問題をしっかりおさえておけば解ける問題が多い。対策としては、大きなニュースに関連した事項について情報を整理しておくとよいであろう。三分野ともに国際的な視点にたった問題が多く、かなり細かい事項まで問われる。難関校用のテキストでしっかり勉強をし、過去問をこなしていく必要があるだろう。世界地理、日本史と政治分野からの出題が多いのでしっかりと理解を深めよう。

慶應義塾女子高校

慶應義塾女子高校

 慶應女子高は志願者427名で、昨年(488名)より61名減少しました。隔年現象により今年の志願者が減少したものと思われます。最高難度に変わりはありません。今年の一般入試の倍率が3.2倍に対し、帰国生入試の倍率は1.6倍です。全合格者における帰国生の割合が近年増加傾向にあることがわかります。

慶應義塾女子高校

英語

 リスニング、長文読解3題(うち対話文1題)、自由英作文の計5題の出題は昨年と同じ。長文読解中心であるが、長文は長く、特に 2 の英文は内容も高度で専門的な理科系の内容である場合が多い。慶応義塾女子は英数国作文での入試で、理科と社会は準備する必要はない。しかし、他の私立難関上位高と同様、知的好奇心が旺盛で、幅広い背景知識をもっている受験生のほうが圧倒的に有利であろう。高校レベルの文法・構文知識が必要になる。
  1 リスニング。2 長文読解。「ひまわりの生態」についての英文。2 の長文読解は理科系の内容が多い。3 対話文。「カナダ政府が、現在8~10週間ある学校の夏休みを短くしようと計画している」といった内容の対話文。4 長文読解。「句読点は言語の一部であり、言語は変化し続ける」といった内容の英文 。5 自由英作文。問いは英文で書かれている。「あなたが過去に経験した困難な決断」について、「どのように決断したか」、また、「その決断を今はどう思っているか」、を50語前後で書く。

数学

 大問5題で構成される。1 が小問集合で3問。2 以降は、二次関数と図形の融合問題、円、整数問題、空間図形と頻出分野から出題された。2年連続で出ていた作図問題の出題はなかったが、変わりに、久々に整数問題が穴埋め形式で出題された。
 図が不正確な状態で出題されることも多く、自分で図を書き直して考えることが必要となる。また、解答は記述を含む形式であるため、普段の学習からどのように解いたかを簡潔にまとめて記すようにしておくとよい。近年、際立った難問の出題はないが、標準レベル以上の力は必須。計算の工夫や頻出分野の標準的な問題でしっかり土台をつくり、過去問演習やSAPIXの問題に取り組むことが必要である。二次関数と図形の融合問題、空間図形、整数問題が頻出分野。証明問題、作図、整数や確率の対策が不可欠である。

国語

 大問3題構成。一 説明文(「本の読み方 スロー・リーディングの実践」平野 啓一郎)、二 古文(「枕草子」清 少納言)、三 説明文(「消費社会とは何か―『お買い物』の論理を超えて」白井 聡)。毎年、小説文(随筆文)・古文・説明文の出題だが今年は小説文の出題がなかった。これは平成23年度以来の出来事である。読解問題は記述しか出題しない開成高のような形式ではなく、選択問題、書き抜き問題、記述問題がバランスよく出題されている。それでいて、文法や文学史も出題されるという、真の国語力が試されていると言えよう。記述はすべて字数指定のない形式。
 一 の説明文は現在41歳の芥川賞作家、平野 啓一郎による本の読み方の話。小問8題中、記述問題は3題。すべて文章中の言葉を使って答えられるものである。知識問題は難問で、夏目漱石の作品を選ばせ(「三四郎」)、あまつさえ2016年は漱石没後何年かを問う問題に至っては朝日新聞の読者でなければ答えられないだろう。二 はなじみ深い「枕草子」からの出題。「枕草子」は「をかし」の文学、「源氏物語」は「もののあはれ」の文学であるという知識は本校受験生なら常識であろう。ある程度古語の意味を知っていないと解けない問題が毎年出題されるのも本校の特徴。三 は政治学者、白井聡による消費社会が教育をだめにしたという話。著作権法の問題で実際にはできないが、保護者会で全員に配布しようかと思うほどの名文。よくぞこの文章を選んでくれましたと拍手喝采したい。小問9題中、記述問題は4題。すべて具体的にどのようなことかを説明させる問題。一 の記述はすべて理由を問う問題。理由が答えられ、簡単に言い換えることができなければ本当に分かったことにならない。つくづく本当の国語の力を問うてくれている学校である。毎年品詞分解が出題される。品詞分解は究極の文法の問題である。ただ本を読んでいるだけではなく、しっかり塾の国語の授業を聞かなければ文法は究められない。しっかりと国語の勉強を積み重ねた者のみが本校合格を勝ち取ることができる

作文

 「昨年11月、アメリカの次期大統領選挙で敗北したヒラリー・クリントン候補のスピーチを読んで、あなたの考えを600字でまとめなさい」という問題が出題された。近年「心細い時」という題の文章を書きなさい、「あの時( )しておけばよかった」という題の文章を書きなさい、などのお題を与えられるタイプの作文の出題が続いていたが、文章を読んで考えを書かせる問題は平成24年度以来の出題である。女子教育最高峰の学校だけに「若い女性の方々に申し上げたいと思います(To all the women, and especially the young women)」というヒラリー・クリントン 魂の叫びに呼応せずにはいられなかったか。常日頃から新聞を読み、今自分は何をすべきかという問いかけを持って暮らしている者なら600字はあっという間に埋まるはず。作文は技術上の問題ではなく、心の引き出し、生き様、生き方の問題である。ただ偏差値が高いだけでは本校には通用しない。私がやらねば誰がやる、という心意気で主体的に生き、ガラスの天井を打ち破ることができる女性を求めていることがこの出題からうかがえる。

筑波大学附属高校

chacha

 筑波大学附属高の募集人員は80名ですが、男女ほぼ同数の合格者を出すので男女で倍率に差が出ます。女子の応募者は昨年は19名増加、今年は15名増加(179名 → 194名)しましたが、男子は72名減少(427名 → 355名)、減少率は17%です。今年は慶應義塾高が入試日程を変更したので、国立大附属高の入試日(2/13)と重なりました。筑波大学駒場高受験者で慶應義塾高を併願校にすることは少ないので影響はありませんでしたが、筑波大学附属高は男子校の慶應義塾高と併願することがあるので、男子は実質倍率が低下(4.40倍 → 3.48倍)しました。
 ちなみに学芸大学附属高は、女子の応募者は12名減少(322名 → 310名)ですが、男子は145名減少(577名 → 432名)、減少率は25%です。筑波大附属と同じ理由ですが、神奈川県の受験生は筑波大学附属高よりも神奈川に近い学芸大学附属高を選ぶことが多く、慶應義塾高の入試日程変更による影響がより大きく出ています。

筑波大学附属高校

英語

 以前と比べて、日本語記述問題の割合は減る一方で、長文読解に関しては、英文量は増えてきている。読解力重視であり、私立難関上位高ほどの文法の知識や語彙力は必要ない。ここ数年出題傾向はかわっておらず、これからも大きく変わることはないと思われるので、まずは過去問でしっかり傾向を押さえることになる。他の国立付属校の問題も、多少の差はあるが、出題意図は近く、十分対策になる
  1 リスニング。2 長文読解。「突然配達されてきた象との幸せな生活と別れ」を描いた英文。3 長文読解。「橋を渡ろうとしていたジュディという少女が、自分は魔法使いだという緑色の少年にさまざまな要求をつきつけられる」といった内容の英文。4 対話文の空所を補う和文英訳。中学レベルの基本文法と語彙で十分対応できる。

数学

 例年、大問数4~5題、小問数14~15問で構成されている。今年度の入試は、難化した昨年よりもさらに難しくなった印象である。
  1 は小問集合で整数問題、確率、関数、平面図形などが出題される。小問集合ではあるものの、分野融合問題や考えさせる問題も含まれているため、難度を見極めて解き進めていく必要がある。今年は 2 が動点、3 が円、4 が空間図形、5 が整数問題と筑附らしいラインナップとなり、受験生が苦手にしがちな分野からかなり練られた問題も出題される。今年は、場合分けが必要になる2を避ける判断が明暗を分けたか。また、本校は記述や作図問題など出題の仕方も様々であり、基礎を確実にした上で過去の入試問題に取り組み、応用力を身に付けることが大切になる。

国語

 大問2題構成。一 説明文(「ポケモンGOが変える現実」吉見 俊哉)、二 小説文(「サクリファイス」近藤 史恵)。出題形式は例年通り。選択問題、書き抜き問題、記述問題がバランスよく出題されている。書き抜き以外の記述はすべて字数指定のない形式。筑波大学附属高校の国語の先生がおっしゃるところの「自由度の高い記述」(自分の考えを書く問題)が必ず1問出題される。知識問題は漢字の書き取りのみ。漢字の書き取りは小学校で習う漢字1,006字からしか出題されない。
 一 は筑波大附属高校出身、現東京大学副学長の社会学者、吉見俊哉による、ポケモンGOが現実の空間を仮想化してしまうという話。小問6題の中で記述問題は3題。内1題は本校の特徴である「自由度の高い記述」である。自分の意見を書く問題は常日頃から訓練しないとできない。過去問を解き、先生に添削してもらうことが肝要。残り2題の記述も文章中の言葉が使えず、自分の言葉でまとめなければならないものばかり。さらに選択問題も文章中からの根拠づけが困難なものが多い。記述にせよ、選択問題にせよ、「どういうことか」を問う問題を多く出題する学校なので、文章を読むとき、人の話を聞くときは常に「これは簡単に言うとどういうことかな」と考えるようにすることが対策になる。二 は大藪春彦賞作家、近藤史恵による、ロードレースはサクリファイス(生贄)によって成り立っているという話。小問8題中、記述問題は3題。一 では文章中の言葉が使えない記述が多く出題されたが、二 の記述問題は文章中の言葉を使えば書ける。文章中の言葉が使える記述は簡単だが部分点は少ない。文章中の言葉を使えず、自分でまとめる問題は部分点が多い。文章中の言葉を使えない記述は、何かしら文章に沿った内容で日本語として正しければ点がもらえるというボーナス問題ということだ。本校は形式が昔から変わらず毎年同じなので、数多くの過去問を解き、時間内ですべての記述を埋める訓練を積み重ね、しっかり直すことが合格のカギを握る。

理科

 大設問8題、小設問35問の出題であった。分野による出題の偏りはなく、物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題される。1、5 は化学分野の「還元」、「気体の性質」から出題された。文章記述は書き難い所はあったが、その他は基本的な設問が多く見られた。2、8 は生物分野の「植物」、「呼吸・血液の循環」から出題された。記号選択式が多く見られたが、そのほとんどが、『あてはまる記号をすべて選ぶもの』で、受験生にとっては厳しい問題であった。3、6 は物理分野の「斜面の運動」、「遠心力・電磁誘導」から出題された。ほとんど記号選択式であったが、難解な設問が多く見られ、4分野の中で最も得点し難い設問であった。4、7 は地学分野の「金星・火星」「火成岩」から出題された。7「火成岩」は基本的な設問が多く見られたが、4「金星・火星」は火星についての知識が必要であり、受験生にとっては厳しい問題であった。
 全体として、難解な計算問題は少なく、記号選択式が多い。しかし『すべて選ぶ』設問が数多く見られ完璧な知識が要求される。数多くの難問を解くことも必要ではあるが、それ以上に中学理科の知識を完璧にしたい。

社会

 大問構成は、1 世界地理、2 日本地理、3 歴史(古代・中世・近世)、4 歴史(近現代)、5 政治、6 経済。総設問数が32題と例年並み。近年あまり出題されていなかった文章記述問題が2題出題され、内容も知識と資料・社会的背景をもとに現場で解答をひねりださなければいけないかなりの難問であった。地理の問題は日本地理・世界地理と変化に富んだ問題が出題され、知識をもとに図・統計・表・地図などの資料を多角的に判断する視点が要求されている。歴史の問題も資料を用い、歴史の流れや細かい知識を複合的にとらえないと解答を導けない問題が多数を占める。公民は歴史・地理に比べると基礎的な問題が多かったが、やはり単なる知識の記述ではなく、知識を用いて現場で解答を検討しなければいけない問題が多い
 全体として、求められる知識量は決して多くなく、教科書に記載されている単語がほとんどであるが、知識を運用する力や知識をもとにした分析力がさまざまな形式で試されており、時間をかけた入念な対策が必要とされる。学習の仕方としては、教科書を隅々まで読み、地図帳や資料集をフルに活用し、正確かつ細かな知識を身につけたうえで背景などを理解し、過去の入試問題を十分に研究しておくことが大切である。

渋谷教育学園幕張高校

渋谷教育学園幕張高校

 後期試験を廃止した渋谷幕張高の学力選抜志願者は630名で昨年の前期試験だけと比較しても78名減少しました。隔年現象によるものと思われます。特に男子にその傾向が見られ、今年は女子が9名減少したのに対し、男子は69名減少しています。

渋谷教育学園幕張高校

英語

 出題形式は昨年度とほぼ同じ。大問2~5はまとまった英文を読み解答するわけだが、ある程度語彙レベルを抑えた平易な英文で書かれており、内容も身近なものであるので読みやすい。とは言っても、高校初級程度の文法・構文の知識、語彙力が必要にはなる。読解中心の出題スタイルで、単純にはいかないだろうが、1つの長文にかけられる時間は10分程度になるだろうから、普段から、長文演習を積みスピードアップを図る必要がある。50分の筆記試験のあとにリスニング試験がある。
 1 語法・文法上正しくないものを選ぶ。2 英文中の空欄に適するように、与えられた語句を並べ替える。英文は高級仕立服「オートクチュール」に関するもの。3 「交番」を説明した英文の空所に8語以上を補い、英文を完成させる。4 長文読解。「北米やヨーロッパなど、スリムな女性が美しく健康的である、と考えられている地域もあるが、一方で、太っている女性に高い価値を置く地域もある」といった内容の英文。5 長文読解。「死期が近づいた飼い犬を思い出とともに安らかに送る」といった内容の文章。6 リスニング。

数学

 大問が5題、小問数が15問でほぼ例年通り。1 が小問集合、2 以降は、整数問題、平面図形、関数、立体図形などから例年バランスよく出題される。
 計算問題は解の吟味を必要とする複雑な問題があるため、注意が必要。頻出分野である整数問題は、標準レベルから深い理解力や洞察力が求められる問題もあるため、幅広い問題を行いながら、常に理由を追及することが必要である。また、図形問題は標準レベル以上の問題が多く、図が与えられていない場合もあるため、正確な図を書く訓練も必須となる。近年の出題傾向には大きな変更がない為、過去の入試問題にできるだけ多く取り組むことが一番の対策になる。

国語

 大問3題構成。一 説明文(「森を見る力 ― インターネット以後の社会を生きる」橘川(きつかわ) 幸夫)、二 小説文(「椿堂」竹西 寛子)、三 古文(「今鏡」)。今までは前期試験、後期試験があり、問題も古文が長かったり、マニアックな文学史の問題を出題したりしていた。昨年の前期試験では太宰治の小説5つの冒頭部分を読んで題名を選ばせる問題、一昨年の前期試験では太宰治の小説の内容を読み、題名を選ばせる問題が出題された。出題者は相当な大宰ファンと見た。今年から後期試験が廃止され、クセがすごい問題もなくなり、以前に比べれば解きやすいものになった。知識問題は漢字のみ。文学史は出題されず、古文の文章量も茨城県立高校入試問題並みの短さ。選択問題と記述問題がバランスよく出題されている。今後もこの形式(説明文・小説文・古文)が続くものと思われる。
  一 は音楽投稿雑誌「ロッキング・オン」創刊者、橘川幸夫による「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」というが、インターネットを使っている者は愚者以下ではないかという話。小問6題中、記述問題は2題。文章中の言葉が使える記述である。生まれたときからインターネットに浸かっている世代こそ読んでほしい名文。二 は文化功労者、竹西寛子による小説。主人公が老人で、テーマは不倫。中3生には共感しづらい内容。かつ渋幕名物の文章量が多い小説で、苦戦を強いられたのではないか。小問8題中、記述は2題。文章中の言葉、それも傍線のすぐ近くが使える記述なので難しくはない。それよりもただでさえ文章量が多いのに、選択問題の一つ一つの文章量が多いのがやっかいである。長い文章を読むときの秘訣は重要な文(小説の場合は心情表現)が読み取れるところに線を引きながら読むことである。文章量の多い選択問題を解くときの秘訣は、選択肢の1文を読点で分割し、分割したすべての内容が文章中に書いてあるか確かめることである。選択肢は一部書いてあるが、他は書いていないものと、オーバーに書かれたもの、文章中に書いていないが良いことが書いてあるものがある。すべて×なので気をつけよう。三 は平安時代末期の歴史物語。例年に比べ文章量が短くなったとはいえ、平安時代の文章だけに読み解くのは難しい。傍観者、常陸守実宗(ひたちのかみさねむね)が、スーパードクター、丹波雅忠(たんばのまさただ)と陰陽師、安倍有行(あべのありゆき・安倍晴明のひ孫)の人知を超えたSPECに驚いたという話。受験者が平均して50点ほどしか取れなかったのはこの古文に原因があるといっても過言ではない。渋幕合格の秘訣は読むスピードと古文にあり。難易度の高い古文の演習を積み重ねることが肝要である。

理科

 大設問4題、小設問33問の出題であった。大設問毎に設問に流れがあり、それに乗ることが大量得点に必要なことである。1 は「飛行機雲について」の出題であった。計算が2題ほど出題されたが、特に難解なことも無く大設問の中では、最も得点しやすい設問であった。2 は「遺伝について」の出題であった。初めの遺伝型・表現型は理解しやすい内容であったが、次のボンベイ型についての内容は苦戦した受験生が多い。3 は「振り子について」の出題であった。振り子から惑星の公転周期につながる設問には受験生も驚いたろう。今回の入試で最も得点差がついた設問であった。4 は「金属について」の出題であった。亜鉛と硝酸、銅と濃硝酸、希硝酸の反応など受験生にとって見慣れない反応ではあったが、十分対応できる難易度であった。
 全体として、初見の問題も多く非常に難易度の高い入試問題であった。その中で受験生平均54.9点、合格者平均62.5点を見ると、受験生のレベル、ましてや合格者のレベルは、非常に高い。この様な入試問題に対応するためには、多くの入試問題を解き、初見の問題に対応する力をつけると共に、揺ぎない基礎学力をつけることが必要となる。勉強法としては、SAPIX のテキストを使い多くの難問に触れることと、全国の公立問題を解くことで基礎学力をつけることが大切である。

社会

 大問構成は、1 歴史、2 公民、3 地理。総設問数42題、文章記述12題。文章内容正誤問題も13題と多数出題。例年通り、非常に癖のある問題が出題され、受験生を苦しめた。合格者平均点が50~60点なので、教科書レベルの問題を確実に正解できるように勉強し、5割以上得点を取れるようにすることが合格への目標となる。全ての分野で、世界史や世界地理・国際関係など世界に目を向けた問題が半分以上を占める。問題の難易度は非常に高いので、教科書レベルの知識を因果関係や周辺知識も含め勉強したうえで、難関校用のテキストを勉強しておかないとなかなか太刀打ちできない。また、問題のクセがすごいので、過去問を多く解き、傾向をつかんだ上で、取らなければいけない問題と捨てていい問題の感覚をつかんでおく必要がある。時事問題も出題されるので、ニュースをしっかりとチェックしておかなければならない。

海城中学

海城中学

 海城中学は1回入試志願者470名で、昨年(513名)より43名減少しました。隔年現象により今年の志願者が減少したものと思われます。繰上候補者は郵送で発表、電話で連絡するそうです。各教科で足切り点があります。足切り点該当者は毎年1~2名いるかどうかだそうです。1回目合格最低点は232点、2回目は231点。毎年1回入試、2回入試の問題難易度は同じレベルで作問しています。過去問を解く際は6割正答が合格の目安です。同時出願による加点などは一切ありません。毎年8割程度が同時出願です。毎年1回目より、2回目が倍率は高くなります。そんな中、1回目落ちて2回目受かる人がいるのかという質問があるそうですが、昨年は48名合格しました。「他の学校の問題に比べ海城中の入試には特徴があるので、過去問をやりこんだ生徒は2回目に受かります」と説明会でのお話がありました。

海城中学

算数(1回)

 大問6題、設問数19題、(試験時間50分)という構成であった。難易度は、昨年の第1回入試と比較すると易化した。合格者の平均点も約10点アップとなる結果であった。大問1は設問数5問の小問集合であった。いずれもどこかで何度か解いたことがあるようなオーソドックスな問題であった。大問2は集合の問題。これもどこかで何度か解いたことがあるような典型的な問題であった。大問3は規則性の問題。計算用紙で試行錯誤しながら、題意を読み取る作業が必要であった。標準的な問題であったが、規則性の問題は解答に要する時間がかかる一方、計算用紙上での集計が1つでもずれると0点になる恐れがある分野である。通常の学習から面倒がらずに、計算用紙上の集計に自信が持てるよう練習してほしい。大問4は通過算。普通電車を急行電車が追いこす時間を進み方が異なる3つの時計を使って計るという問題。これも標準的な問題であった。大問5は2つの三角形が重なる面積を与えられたグラフをもとに求める問題。相似比、面積比、通過算の考え方を総合的に用いる良問であった。図形が苦手な受験生はかなり手を焼いたのではないかと思われる。大問6は立体図形。(1)(2)は容易に解答できたのではないか。(3)は「平均の高さ」に気づければ容易にできたであろう。全体的に標準的な問題が多かったことを考えると、前半の大問1から大問4でミスを3題以内に押さえ、大問5・大問6の半分を解答できれば、合格点は確保できる。本校の算数は、『予習シリーズ』の練習問題レベルがしっかり学習できれば、十分対応できる。立体図形、特に男子難関校の立体図形の対策は、予習シリーズ以外でも十分に練習をするのでがんばってほしい。

国語(1回)

 小説文(ガブリエル・ゼルヴィン著・小尾 芙佐訳「書店主フィクリーのものがたり」約5,600字)論説文(小田 嶋隆「13歳のハードワーク」約3,600字)。出題形式は例年通り(大問一小説文・大問二論説文)。昨年は100字~120字の記述問題が第1回入試、第2回入試ともに出題されていたが、今年は第1回入試は60~80字の記述、第2回入試で100字~120字の記述が出題された。毎年、説明文の記述は文章中の言葉を少し変えるだけで作成することができるが、小説の記述は自分の言葉でまとめる必要がある。登場人物の心情の移り変わりを自分の言葉でまとめる訓練が必要。100字程度で自分の言葉でまとめる記述は「週テスト」や『予習シリーズ』を丁寧に直すことで習練できる。『予習シリーズ』、「週テスト」の記述問題にどれだけ丁寧に取り組むかが合否の鍵をにぎる。

理科(1回)

 例年同様、大設問4題。大設問1は「てこ」からの出題。角度があるてこには、戸惑った受験生が多いと思われる。また、グラフを使って解く問題も、はじめて見るグラフに苦戦必至と思われる。大設問2は「気体の性質や発生方法」からの出題。アンモニアの発生方法や色がある気体など、細かな知識が必要な問題も多く見られた。また問3のメタン・プロパンの燃焼の計算問題も、一度は目にしている問題ではあるが、正解までたどり着かない受験生が多く見られたと思われる。大設問3は「音」からの出題。声帯、鼓膜、耳小骨など、中学受験ではめずらしく耳のつくりについての問題もあった。また文章記述は、非常に記述し難い設問であった。大設問4は「地球の自転と気候の変動」からの出題。文章(900字程度)を読んで、適語補充や内容に対しての文章記述など、読解力が必要な設問が多く見られたが、大設問の中では、最も得点し易い設問であった。全体として、合格者平均点42.0点(80点満点)を見ても、昨年(46.8点)一昨年(52.3点)から難化が見られた。しかし、難問にとらわれ過ぎなければ十分に合格点に達する問題構成であった。

社会(1回)

 本校の、あるテーマを取り扱った1,000字以上のリード文(問題文)を読み、写真や統計データ、グラフなどの関連資料を読み取らせた上で、50~200字程度の記述をさせるという出題形式に変更はなかった。メインは記述問題であるが、半分程度は、記号選択や用語記入などの問題が出題される。本年は、自動車をテーマにしたリード文であった。前半の記号選択や用語記入の問題は、本校を受験する生徒ならば点数を確実に確保しなくてはならない問題であった。記号選択や用語記入などの問題は確実に、できるだけ手際よく解いて記述問題に時間を残せることが重要になる。また、解答は、設問をよく読んで求められている条件を満たすことも重要である。

浦和明の星女子中学

浦和明の星女子中学

 浦和明の星女子中学は第1回入試志願者1,895名で、昨年(1899名)より4名減少しました。第2回入試志願者は297名で昨年(285名)よりも12名増加しています。難関中学を目指す女子が最初に受験する中学として人気が定着しています。目立った隔年現象は見られず、今年も多くの受験者を集めることが予想されます。

浦和明の星女子中学

算数(1回)

 大問5題、設問数21題、(試験時間50分)という構成であった。問題数、難易度はほぼ例年通りであった。大問1は小問8題。合格するためには10分程度で全問正解していることが望ましい。大問2は水量変化の標準レベルの出題。多少計算量が必要だが、あわてず処理していけば完答できたはず。大問3は和と差に関する問題。この分野は、本校のみならず、難関校の頻出分野である。受験生にとって十分な対策が必要になる分野である。ただし、今年の出題は標準的なレベルの問題であったため、十分に練習を積んだ受験生にとっては容易に解答できたはずである。大問4は速さの問題。ダイヤグラムで状況を把握し、つるかめ算で解く問題。受験生はぜひ、短い時間でダイヤグラムを計算用紙に書く練習をしてほしい。難易度は標準レベル。大問5は数と規則性の問題。時間にゆとりがあれば完答できるが、問題の題意を読み取り、計算用紙上で試行錯誤しながら規則性を整理することを考えると、受験生にとってかなりハードルが高く感じられたのではないかと思われる。本校の算数は、『予習シリーズ』の練習問題レベルがしっかり学習できれば、十分対応できる。

国語(1回)

 論説文(辻 信一「弱虫でいいんだよ」約4,400字)小説文(伊坂 幸太郎「スロウではない」約7,000字)。出題形式は例年通り(大問一論説文・大問二小説文)だが、大問一の論説文の中に金子みすゞさんの詩が出題された。口語定型詩に関する知識がなければ解けない問題が出題された。小説の分量は毎年長め。今年も読み応えがあり非常に続きが気になる内容であった。20~25字の記述問題以外は選択式問題と書き抜き問題しかない。常総・江戸取に似た出題形式。この形式になったのは実は昨年の第1回入試から。以前は選択・書き抜き以外にも150字程度で書かせる問題が論説文・小説文ともに出題されている。第2回入試では今年も昨年も150字程度の記述問題が出題されている。よって今年も昨年も平均点に10点近い開きがある。確実にこの学校の合格を取るためには説明文、小説ともに150字程度の記述問題に慣れておく必要がある。『予習シリーズ』、「週テスト」の記述問題にどれだけ丁寧に取り組むかが合否の鍵をにぎる。

理科(1回)

 例年同様、大設問4題。大設問1は「光の反射(鏡)」からの出題。鏡に映る像の範囲の問題は、受験生にとっては何度も解いた問題であり、多少複雑な設問があったが、全問正解したい問題であった。大設問2は「水溶液」からの出題。7種類の水溶液も特別なものはなく、受験生にとっては解きやすい問題であった。大設問3は「人体・消化」からの出題。体を水平に切ったときの臓器の位置など、あまり見られない設問もあり、戸惑った受験生が多いと思われる。大設問の中では、最も得点し難い設問であった。大設問4は「北の空の星座」からの出題。カシオペア座、北斗七星など一般的なもので、特に難問も見られなかった。全体として、合格者平均点35.2点(50点満点)を見ても、昨年(33.3点)一昨年(38.1点)と難易度の変化はほぼないといえる。合格点を取るためには、特殊な学習ではなく『予習シリーズ』で基本的な内容を理解し、問題演習で理解を深めることが必要である。

社会(1回)

 理科と合せて50分の時間の中、30問程度の問題を解くという形式に変更はなかった。記号選択がほとんどの出題であり、用語記述は漢字指定である。本年は、1つのテーマに沿って書かれた3つのリード文からそれぞれに対して、地理・歴史・政治といった分野ごとの出題ではなく、融合問題での出題であった。ここ数年出題されていた地形図の出題はなかった。基本から難度の高い知識が必要となる問題まで出題される本校の合格者平均点は、50点満点中、例年35点から40点と高得点勝負なので、短い時間の中で、いかに早く正確に解くかが鍵になる。高いレベルでの知識とそれを一つ一つ正確に身につけることが重要になる。時事に関することや現代の課題となっていることも出題される。例えば、本年は台湾やロシアであった。普段から新聞やニュースに親しむ必要がある。

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