難関高校入試問題解説 2018

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開成高校

開成高校

開成高校の受験者数は、昨年、慶應義塾高(一次)の入試日の移動によって113人減らしましたが(644名→531名)、2年目の今年は受験者がほぼ横ばい(537名→531名)で、合格者を7名減らしたため、倍率を2年ぶりに3倍台に戻しました。しかし近年、日比谷高との併願が目立ってきています。日比谷高の昨年の東大合格者数は45名、今年は48名。公立高校の東大合格者数の日本一です(土浦一高は15名で12位)。そのため男子の学力最上位層が日比谷高にも流れている状況がありますが、難易度に変わりはなく、十分な入試対策が必要なのは言うまでもありません。

開成高校

英語

 試験時間は50分で、試験開始後約20分経過してから、聴き取り問題(約15分間)が実施される。筆記にかけられる時間は35分ということになる。大問3~7の語彙・文法問題は以前ほどの難易度ではなく、10分以内で9割以上は正解したい。残りの時間で長文を2題解答することになる。大学センター試験で7~8割、英検2級に合格するレベルの語彙・文法力を身につけたうえで、読解精度の高い速読演習が不可欠。知識、あるいは知識欲がある生徒が欲しいという作問スタイルが続いている。
1 長文読解。「母のクリスマスツリー~貧しい家族の最高のクリスマス」を描いた文章。10分程度で解答しなければならないが、内容は平易で読みやすい。2 長文読解。「ハワイ諸島の2つの島、伝統を重んじる純粋のハワイ人が暮らすニイハウ島。かつて宗教的・文化的儀式の島であり、また軍の演習場でもあった無人島カホオラウェ島。」に関する文章。 1 同様、かけられる時間は10分程度。こちらの説明文も読みやすい。3 各組の空所に入る同じつづりの単語を答える問題。語彙力が問われる問題。capital letter 「大文字」、60% chance of rain「降水確率60%」、out of order「故障中」、I can’t stand it.「もう我慢できない。」などの知識が必要。4 英語で書かれた定義に当てはまる適切な単語を答える問題。最初の文字が与えられている。someone who lives next to you or near youという定義から「隣人」とわかるが、その意味の英単語neighborはスペルミスをしやすい単語ではある。5 文法的、または語法的な間違いを含む英文を2つ選ぶ問題。6 それぞれの日本語の意味に合うように、空所に入る単語を答える問題。7日本語の英訳となるように、空所を埋める問題。与えられている単語を使用する。8聴き取り問題。聴き取り問題のスクリプトは同校のホームページで公開される。

数学

 大問4題で構成され、今年は 1 小問集合、2関数、3 整数問題、4 図形が出題された。基本的にはすべての問題について解法を答える記述形式になっている。
必ず出題される特定の分野がなく、証明、作図、グラフを書かせる問題などランダムに出題される。年度によっても難度に差があるため、この学校だけでなく、他の難関校の入試問題に取り組み、幅広く経験を積んでおくことが必要である。また、受験生が単に知識として捉えがちな、ものの成り立ちについて説明する問題も最近出題が目立つ。教科書に載っている用語や定理は正しく理解するだけでなく、定理そのものの証明はもちろん、問題に関連する事象・背景などを合わせて考えられるようにしておきたい。

国語

 大問3題構成。一 説明文(「新しいモニュメントの到来のために」新井 卓)、二 小説文(「夏帽子」萩原 朔太郎)、三 古文(「閑居友」慶政)。出題形式は例年通り。中学受験と同様、読解問題はすべて字数指定のない記述形式。昨年同様、大問1の小問数は3つ、大問2の小問数は3つ、大問3の小問数は3つのわずか9問勝負。東京大学入試を意識した出題形式。文章総字数は近年の傾向どおり、難関校にしては控えめ。記述総字数400字台も例年どおりで、全体的なボリュームに変化はない。平均点(合格者平均59.2点/受験者平均50.6点)は昨年に比べ上がった(昨年度合格者平均53.5点/昨年度受験者平均45.3点)。
一 の説明文は写真家、新井卓による実物に触れることでしか伝わらないものがあるという話。小問1の漢字の書き取りは「ボウダイなリスト」「浅瀬にトウキ」「症状をテイし」など難しいものばかり。塾で実施しているSAPIXの漢字テストにしっかり取り組むことが肝要だ。残りの2問は記述。だが、文章中の言葉をすべて使うことができる比較的容易なものである。本校合格にはこの記述の正解が不可欠だ。そのためには文章を200字程度で要約する訓練を積むと良いだろう。二 の小説文は身分を偽って女子と仲良くなろうとする話。昨年は2016年芥川賞を受賞した「コンビニ人間」が採用されたが、今年は75年前に書かれた作品。小問3つはすべて記述問題。ただ単に文章中の言葉を使えば書けるものは一つもない。自分の言葉で内容をまとめる必要がある。読み取るべき部分は明らかだが、自分の言葉でまとめるのは至難の業という、開成入試の特徴がよく表れた難問。授業内で自分の言葉でまとめる問題を数多くこなすので、真面目に普段の宿題に取り組んだ者のみが解答することができる問題である。とはいえ、今年は中学生男子が共感しやすい内容だったので、例年に比べ書きやすかったのでは。平均点が上がった理由がここにあると思われる。三 の古文は毎年近世のものが出題されているが、今年は鎌倉時代の説話。内容も分かりやすく、問題の難易度も低い。平均点が上がった理由はここにもある。とはいえ、来年はこの反動で難しくなることが予想される。今年は出題されなかったが、俳句や短歌の鑑賞文を書けという記述問題が昨年、一昨年と出題された。鑑賞文対策も授業内でしっかり取り組むので安心してほしい。

理科

 大設問4題、小設問24問の出題であった。例年、分野による出題の偏りはなく、物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題される。また、30年度入試の受験者平均33.3点、合格者平均36.5点(50点満点)は29年度入試が高得点勝負だったことに比べると難化だが、例年並みの得点率に戻っただけである。1 は「化学反応」からの出題であった。計算問題も素直な設定で落ち着いて取り組めば正答に至る。2 は「生物総合」からの出題であった。休眠種子の話題は初見の受験生もいただろうが、問題そのものは難しくは無い。3 は「天気」からの出題で基本的な設問が多かった。4は「リニアモーターカーの仕組み」についての出題。設問そのものの難易度は高くないが、問題の設置を理解して時間内に解き切るのは難しく感じた受験生も多かっただろう。
全体として、例年通りの難易度であった。勉強法としては、特に難問を解く必要は無く、確実に得点を取るために、全国の公立入試問題を数多く解くことで地力をつけることが必要である。点数の差が付きやすい物理に多くの時間をかけるとよいだろう。

社会

 大問構成は、例年通り 1 歴史、2 地理、3 公民の3題。総設問数47題。以前はあまり出題されなかった文章記述問題が2年連続出題され、土砂災害と保安林が果たす役割を説明する問題であった。
1 は日本と他国との関係に関する歴史の問題が出題された。ヴァリニャーニやファン=ボイ=チャウなど教科書に載っていないような超難問が多く出題された。その他の問題でも広開土王を答えさせるなど難易度は高いが、開成高校受験者であれば一度は触れたことのある知識なので、そのような問題をどれだけ得点できるかが合格の鍵となる。2 は自然災害と気象・地形・国の特徴などを絡ませた地理の問題。社会が得意な生徒でも知らないような難問が多数出題されている。しかし、地理の知識や地図のイメージと時事問題の知識を融合し活用すれば解答にたどり着ける問題となっており、このあたりの問題が解けるかが開成高校合否を分ける問題になる。3 は国際連合に関係する公民の問題。2016年以降に就任した首脳の出身政党を答える問題やシリアの難民問題などニュースを意識的に見ていないと解答できない難問が出題されている。しかし、公民の基礎事項をおさえ近年の時事問題をしっかりおさえておけば解ける問題が多く出題されているので、対策としては、大きなニュースに関連した事項について情報を整理しておくとよいであろう。三分野ともに国際的な視点にたった問題が多く、かなり細かい事項まで問われる。難関校用のテキストでしっかり勉強をし、過去問をこなしていく必要があるだろう。世界地理、世界史と国際政治分野からの出題が多いのでしっかりと理解を深めておこう。

慶應義塾女子高校

慶應義塾女子高校

 慶應義塾女子高校は志願者467名で、昨年(427名)より40名増加しました。隔年現象により今年の志願者が増加したものと思われます。難度は今年も高水準でした。

慶應義塾女子高校

英語

 リスニング、長文読解3題(うち対話文1題)、自由英作文の計5題の出題は昨年と同じ。長文読解中心であるが、長文は長く、特に 2 の英文は高度で専門的な理科系の内容である場合が多い。これまでも「ドローン、衛星、海流、磁石、クラゲの生態」などが出題されているが、中学3年生の女子の日常生活には登場しないようなテーマをあえて狙っているように思える。内容的に見ても、「海流」では「表層海流、深層海流、離岸流」などを突っ込んで説明しているし、「磁石」などは「磁区、磁壁」などの用語を使ってその現象を説明している英文であった。慶応義塾女子は英数国作文での入試で、理科と社会は準備する必要はない。しかし、他の私立難関上位高と同様、知的好奇心が旺盛で、幅広い背景知識をもっている受験生のほうが圧倒的に有利であろう。英語的にも高校レベルの文法・構文知識が必要になる。
1 リスニング。2 長文読解。「ストレスが体に及ぼす影響とその軽減への取り組み」についての英文。適語補充、英問英答、内容一致などが出題。日本語で説明したり、日本語に直す問題もある。2 の長文読解は理科系の内容が多い。3 対話文。ジャックが科学コンテストで取り組もうと考えている昆虫の研究について、エリックと話している。適語・適文補充、同意語、日本語説明、内容一致などが出題。4 長文読解。「友情」について書かれた英文 。適語句補充、整序英作文、日本語に直す、英語に直す問題などが出題。5 自由英作文。問いは英文で書かれている。「高校生のアルバイト」について、賛成か反対かを、2~3点の理由を添えて50語前後で書く。

数学

 大問5題で構成される。近年と傾向は変わらず、1 が小問集合で3問。2 以降は、関数と図形の融合問題、円、整数問題、空間図形と頻出分野から出題された。ただし、全体的な難易度はここ数年に比べて易しかったか。
図が不正確な状態で出題されることも多く、自分で図を書き直して考えることが必要となる。また、解答は記述を含む形式であるため、普段の学習からどのように解いたかを簡潔にまとめて記すようにしておくとよい。近年、際立った難問の出題は少ないが、標準レベル以上の力は必須。計算の工夫や頻出分野の標準的な問題でしっかり土台をつくり、過去問演習やSAPIXの問題に取り組むことが必要である。本校だけではないが、関数と図形の融合問題で落としてしまうと厳しいので特に対策が必要。

国語

 大問3題構成。一 随筆文(「十二章のイタリア」内田 洋子)、二 古文(「いまに見ていろ――『大鏡』『道長』」高田 祐彦)、三 説明文(「名画礼賛のマナー」福岡 伸一)。読解問題は記述しか出題しない開成高のような形式ではなく、選択問題、書き抜き問題、記述問題がバランスよく出題されている。それでいて、文法や文学史も出題されるという、真の国語力が試されていると言えよう。記述はすべて字数指定のない形式。
一 の随筆文はイタリア在住のジャーナリストによる自伝。小問8題中、記述問題は3題。すべて文章中の言葉を使って答えられるものである。二 は現代文と古文の混合文。混合文の出題は平成25年以来である。ある程度古語の意味を知っていないと解けない問題が毎年出題されるのも本校の特徴だったが、今年の古文は「影をば踏まで、面をや踏まぬ」の1文だけ。後は説明文。なればこそ、容赦なく記述問題が出題されている。記述だけではなく「メンモクヤクジョ」「トウイソクミョウ」「眼目」など、語彙力も試されている。三 は生物学者によるフェルメール礼賛の話。「真珠の首飾りの女」は当塾の個別教室に飾られているが、フェルメールの絵を見たことがないと解きにくかったのではないか。記述問題はすべて具体的にどのようなことかを説明させる問題か、理由を問う問題。理由が答えられ、簡単に言い換えることができなければ本当に分かったことにならない。つくづく本当の国語の力を問うてくれている学校である。毎年品詞分解が出題される。品詞分解は究極の文法の問題である。ただ本を読んでいるだけではなく、しっかり塾の国語の授業を聞かなければ文法は究められない。しっかりと国語の勉強を積み重ねた者のみが本校合格を勝ち取ることができる。

作文

 アンパンマンのマーチ1番(アニメの主題歌ではない方)の歌詞の「たとえ胸の傷がいたんでも」という部分に関してあなたが思うことを600字以内にまとめなさいという問題が出題された。近年「心細い時」という題の文章を書きなさい、「あの時( )しておけばよかった」という題の文章を書きなさい、などのお題を与えられるタイプの作文の出題が続いていたが、文章を読んで考えを書かせる問題が昨年に引き続き今年も出題された。「正義のための闘いなんてどこにもないのだ。正義はある日突然反転する。逆転しない正義は献身と愛だ。目の前で餓死しそうな人がいるとすればその人に一片のパンをあたえること」という、戦争を経験したやなせたかしさんの人生哲学と、東日本大震災直後、ラジオ局に「アンパンマンのマーチ」へのリクエストが殺到したということを知っていれば、何字でも書けるお題。作文は技術上の問題ではなく、心の引き出し、生き様、生き方の問題である。ただ偏差値が高いだけでは本校には通用しない。私がやらねば誰がやる、という心意気で主体的に生き、悲しみに打ちひしがれている人に対する憐憫の情、共感の心を持った女性を求めていることがこの出題からうかがえる。

筑波大学附属高校

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 筑波大学附属高校の募集人員は80名ですが、男女ほぼ同数の合格者を出すので男女で倍率に差が出ます。女子の応募者は昨年は15名増加、今年はほぼ同じ(194名 → 195名)で、男子は30名増加(355名 → 385名)しましたが400名を割り込んでいます。昨年と同様、今年も慶應義塾高(二次)の入試日程が、国立大学附属高の入試日(2/13)と重なりました。筑波大学附属駒場高は慶應義塾高と受験者層が重ならないので影響はありませんでしたが、筑波大学附属は男子校の慶應義塾高との併願受験生が少なくないので、男子は実質倍率が昨年3.48倍、今年3.64倍と一昨年の4.40倍ほど厳しくはありませんでした。

 ちなみに学芸大学附属高は、女子の応募者は8名減少(310名 → 302名)ですが、男子は26名増加(432名 → 458名)と少し数を戻しました。筑波大学附属と同じ理由ですが、神奈川県の受験生は筑波大学附属高よりも神奈川に近い学芸大学附属高を選ぶことが多く、慶應義塾高の入試日程変更による影響で男子の受験者が一昨年と比べると119名減少しています。また、今年より、これまで定員の約2倍までの一次試験通過者を対象に、一般入試で面接を行っていましたが、これを廃止し、筆記試験のみになりました。加えて合格発表日に、同時に補欠候補も発表する方式に改まりました。

筑波大学附属高校

英語

 ここ数年出題傾向は変わっておらず、リスニング1題、長文2題、英作文1題というスタイルが続いている。長文は、以前と比べて日本語記述問題の割合は減る一方で、英文量は増えてきている。私立難関上位高に求められるレベルの文法の知識や語彙力は必要なく、あくまでも読解力重視となっている。英文は柔らかい筆致のエッセーやファンタジーが好まれるようだ。出題傾向はこれからも大きく変わることはないと思われるので、まずは過去問でしっかり出題傾向を押さえることになる。他の国立付属校の問題も、多少の差はあるが、出題意図は近く、十分対策になる
1リスニング。2 長文読解。「戦争で右手を失いすっかり変わってしまった父。息子は野球が好きだった父を野球場へ連れて行き、そこで父は、左手一本でプレーするメジャーリーガーの活躍を目にし、自分を取り戻す。」といった内容の英文。適語補充、英文整序、日本語説明(20字以内)、内容一致問題などが出題。3 長文読解。「テレサが、山の精霊サン・モンテとともに、ダム建設から村を守る」という内容の英文。適語補充、英文整序、理由説明、内容一致問題が出題。4対話文の空所を補う和文英訳。現在完了、間接疑問文、不定詞などの中学レベルの基本文法と語彙で十分対応できる。

数学

 例年、大問数4~5題、小問数15問程度で構成されている。1 は小問集合で整数問題、確率、関数、平面図形などが出題される。小問集合ではあるものの、分野融合問題や考えさせる問題も含まれているため、難易度を見極めて解き進めていく必要がある。今年は 2規則に関する問題、3円、4文章問題、5空間図形と動点が出題され、毎年、受験生が苦手にしがちな分野からかなり練られた問題も出題される。1を落とさず、2~5は部分的にしっかりと得点する力が必要なので、基礎を確実にした上で過去の入試問題に取り組み、応用力を身に付けることが大切になる。

国語

 大問2題構成。一 説明文(「ロボットとは何か――人の心を映す鏡」石黒 浩)、二 小説文(「緑の洞窟」湯本 香樹実)。出題形式は例年通り。選択問題、書き抜き問題、記述問題がバランスよく出題されている。書き抜き以外の記述はすべて字数指定のない形式。本校の国語の先生が説明会でおっしゃるところの「自由度の高い記述」(自分の考えを書く問題)が必ず1問出題される。知識問題は漢字の書き取りのみ。漢字の書き取りは小学校で習う漢字1,006字からしか出題されない。
一はロボット工学者による、題名通りの話。小問6題の中で記述問題は3題。内1題は本校の特徴である「自由度の高い記述」である。自分の意見を書く問題は常日頃から訓練しないとできない。過去問を解き、先生に添削してもらうことが肝要。選択問題も文章中からの根拠づけが困難なものが多い。記述にせよ、選択問題にせよ、「どういうことか」を問う問題を多く出題する学校なので、文章を読むとき、人の話を聞くときは常に「これは簡単に言うとどういうことかな」と考えるようにすることが対策になる。二は幼稚園の頃を大人目線で描いた話。小問8題中、記述問題は3題。言葉の裏に隠された、何気ない表情や行動からこぼれ落ちる、その人の本当の気持ちを読み取る能力がなければ、内容を理解することすらできなかったのではないか。一では文章中の言葉が使える記述が出題されたが、二の記述問題は文章中の言葉が使えない。文章中の言葉が使える記述は簡単だが部分点は少ない。文章中の言葉を使えず、自分でまとめる問題は部分点が多い。文章中の言葉を使えない記述は、何かしら文章に沿った内容で日本語として正しければ点がもらえるというボーナス問題ということだ。本校は形式が昔から変わらず毎年同じなので、数多くの過去問を解き、時間内ですべての記述を埋める訓練を積み重ね、しっかり直すことが合格のカギを握る。

理科

 大設問8題、小設問33問の出題であった。分野による出題の偏りはなく、1は地震(地学)、2は加熱分解(化学)、3は消化と吸収(生物)、4は浮力と力(物理)、5は地層(地学)、6はアルミニウムの溶解(化学)、7は生物のつながり(生物)、8はオームの法則(物理)という出題分野で、物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題された。
記述問題・グラフを描く問題・計算問題・選択問題と出題形式は多岐にわたり、うろ覚えで対応できる出題はほとんど無い。出題テーマはおおむね中学理科の範囲にとどまっているが、細かく正確な知識を必要としたり丁寧に条件を整理する必要があり、既出の実験や観察が中心の公立高校入試問題の対策レベルでは対応しきれない。全体として、難解な計算問題は少なく、記号選択式が多い。しかし『すべて選ぶ』設問が数多く見られ完璧な知識が要求される。数多くの難問を解くことも必要ではあるが、それ以上に中学理科の知識を完璧にしたい。

社会

 大問構成は、1 世界地理、2 日本地理、3 歴史(古代・中世・近世)、4 歴史(近現代)、5 政治、6 経済。総設問数が35題と例年並み。近年あまり出題されていなかった文章記述問題が2年連続2題出題され、内容も知識と資料・社会的背景をもとに現場で解答をひねりださなければいけないかなりの難問であった。地理の問題は日本地理・世界地理と変化に富んだ問題が出題され、知識をもとに図・統計・表・地図などの資料を多角的に判断する視点が要求されている。歴史の問題も資料を用い、歴史の流れや細かい知識を複合的にとらえないと解答を導けない問題が多数を占める。公民は歴史・地理に比べると基礎的な問題が多かったが、やはり単なる知識の記述ではなく、知識を用いて現場で解答を検討しなければいけない問題が多い
全体として、求められる知識量は決して多くなく、教科書に記載されている単語がほとんどであるが、知識を運用する力や知識をもとにした分析力がさまざまな形式で試されており、時間をかけた入念な対策が必要とされる。学習の仕方としては、教科書を隅々まで読み、地図帳や資料集をフルに活用し、正確かつ細かな知識を身につけたうえで背景などを理解し、過去の入試問題を十分に研究しておくことが大切である。

渋谷教育学園幕張高校

渋谷教育学園幕張高校

 昨年から後期試験を廃止した渋谷教育学園幕張高の学力選抜志願者は613名で昨年と比較して17名減少しました。男子は6名、女子が11名の減少です。応募者は微減ですが、逆に合格最低点は少し上がりました。

渋谷教育学園幕張高校

英語

 出題形式は昨年度とほぼ同じ。大問2~5はまとまった英文を読み解答するわけだが、ある程度語彙レベルを抑えた平易な英文で書かれており、内容も身近なものであるので読みやすい。とは言っても、高校初級程度の文法・構文の知識、語彙力が必要にはなる。読解中心の出題スタイルで、単純にはいかないだろうが、1つの長文にかけられる時間は10分程度になるだろうから、普段から、長文読解演習を積みスピードアップを図る必要がある。50分の筆記試験のあとにリスニング試験がある。
1 語法・文法上正しくないものを選ぶ。2 英文中の空欄に適するように、与えられた語句を並べ替える。英文はオーストラリアで開催される「ムーン・ランターン・フェスティバル」に関するもの。3 英作文。「日本に留学するオーストラリア人のマイクがSNSを利用してメッセージを投稿した。それを読んだShunsukeが英語でコメントをしようとしている。」という設定。英文の空所に5語以上を補い、英文を完成させる。4 長文読解。「procrastination(やるべきことをぐずぐずと後回しにしてしまう行為)」に関する英文。語彙、抜き出した英文を適する箇所に戻す問題、英文完成、内容一致などが出題。5 長文読解。「再婚した母の妊娠・出産を通して、高校生の娘が抱く様々な思い」を記述した文章。適語・適文選択、日本語説明、内容一致などが出題。6 リスニング。

数学

 大問が5題、小問数が15問で例年通り。1 が小問集合、2 以降は、整数問題、平面図形、関数、空間図形などから例年バランスよく出題される。
頻出分野である整数問題は、標準レベルから深い理解力や洞察力が求められる問題もあるため、幅広い問題を行いながら、常に理由を追及することが必要である。また、図形問題は標準レベル以上の問題が多く、図が与えられていない場合もあるため、正確な図を書く訓練も必須となる。一時、定理に関する証明が出題されていたが、ここ2年は出題されていない。とはいえ、近年の出題傾向に大きな変更はないので、過去の入試問題にできるだけ多く取り組むことが一番の対策になる。

国語

 大問3題構成。一 説明文(「承認をめぐる病」斎藤 環)、二 小説文(「ヘヴン」川上 未映子)、三 古文(「十訓抄」)。今までは前期試験、後期試験があり、問題も古文が長かったり、マニアックな文学史の問題を出題したりしていた。2年前の前期試験では太宰治の小説5つの冒頭部分を読んで題名を選ばせる問題、3年前の前期試験では太宰治の小説の内容を読み、題名を選ばせる問題が出題された。2年前までの国語入試問題作問者は相当な大宰ファンと見た。昨年から後期試験が廃止され、問題もクセがなくなり、以前に比べれば解きやすいものになった。知識問題は漢字のみ。文学史は出題されず、選択問題と記述問題がバランスよく出題されている。今後もこの形式(説明文・小説文・古文)が続くものと思われる。
一は変わろうとしない最近の若者は幸福でもあり不幸でもあるいう話。小問6題中、記述問題は昨年同様2題。文章中の言葉が使える記述である。二はいじめの話。昨年のテーマは不倫だったので中3生には共感しづらい内容だったが、今年は分かりやすい内容だった。その分、記述問題は難易度が上がっている。また、渋幕名物である、選択肢の文章量が多いのもやっかいである。文章量の多い選択肢のある選択問題を解くときの秘訣は、選択肢の1文を読点で分割し、分割したすべての内容が文章中に書いてあるか確かめることである。選択肢は一部書いてあるが、他は書いていないものと、オーバーに書かれたもの、文章中に書いていないが良いことが書いてあるものがある。すべて×なので気をつけよう。三は鎌倉時代の説話。家に火がついたのに消さなかった者が賢者扱いされるという話は、中3生には理解しにくいのではないか。受験者が平均して50点ほどしか取れなかったのはこの古文に原因があるといっても過言ではない。渋幕合格の秘訣は読むスピードと古文にあり。係り結びなどの文語文法はもとより、重要古語の意味を覚え、SAPIXテキストで古文演習を積み重ねることが肝要である。

理科

 大設問4題、小設問34問の出題であった。初見のテーマに対する理解力を問う大問と、テーマに対する習熟度を問う大問の2系統があり、いずれも中学理科の内容については十分に習熟していることが前提となった出題となっていた。初見のテーマが高校での頻出事項に重複する年度では得点率が跳ね上がる(=多くの受験生が「入試対策」として、高校内容を「練習」として取り組んで受験に臨む)が、30年度入試では従来通りの出題形式であった。
 1は「プレートの動きと地層・岩石」、2は「中和とイオン」、3は「磁界」、4は「光学顕微鏡」の出題であった。1は初見のテーマに対する理解力を問う問題で、取り組みにくく感じた受験生が少なくなかったのではないか。また3も後半部では中学範囲を超えた内容だったが、問題文をよく読んで、基本事項に立ち返って解き進めば正答が導かれるだろう。全体として、今年度は初見の問題もあり非常に難易度の高い入試問題であった。その中で受験生平均59.5点、合格者平均71.2点を見ると、昨年よりは若干易化している。受験生のレベル、ましてや合格者のレベルは、非常に高い。この様な入試問題に対応するためには、多くの入試問題を解き初見の問題に対応する力をつけると共に、揺ぎない基礎学力をつけることが必要となる。勉強法としては、SAPIX のテキストを使い多くの難問に触れることと、全国の公立問題を解くことで基礎学力をつけることが大切である。

社会

 大問構成は、1 歴史、2 公民、3 地理。総設問数44題、文章記述13題。文章内容正誤問題も15題と多数出題。例年通り、非常に癖のある問題が出題され、受験生を苦しめた。合格者平均点が50点前後なので、教科書レベルの問題を確実に正解できるように勉強し、5割以上得点を取れるようにすることが合格への目標となる。全ての分野で、世界史や世界地理・国際関係など世界に目を向けた問題が半分以上を占める。問題の難易度は非常に高いので、教科書レベルの知識を因果関係や周辺知識も含め勉強したうえで、難関校用のテキストを勉強しておかないとなかなか太刀打ちできない。また、クセがすごい問題が多いので、過去問を多く解き、傾向をつかんだ上で、取らなければいけない問題と捨てていい問題の感覚をつかんでおく必要がある。時事問題も出題されるので、ニュースをしっかりとチェックしておかなければならない。

豊島岡女子学園高校

豊島岡女子学園高校

 豊島岡女子学園高は難関大学に多く合格者を輩出することで注目され、2014年度、2015年度は600名を越える志願者を集めましたが、高難度・高倍率で敬遠され、志願者数は一昨年535名でした。昨年の志願者が414名で、一昨年より121名減少しましが、豊島岡女子学園高の入試日は2/11で、昨年は青山学院高と入試日が重なったことが減少の原因と考えられます。今年は青山学院高の入試が2/12だったため、受験者も474名と昨年より60名増加しました。

豊島岡女子学園高校

英語

 大問が5題出題。1 対話文完成。整序英作文。対話を成り立たせるために(  )内の語に1語加えて意味が通るように並べ替える。基本的な構文・熟語を用いて表現する。How many~?、would like 人to、All you have to do is~.などの表現が出題。2 文整序。英文が7文与えられ、意味が通るように並べる。米国ミシガン州ウェストランドで開催される“泥祭り”に関する英文。3 3つの英文の(  )にそれぞれ適する単語を入れる。3つのうち2つは共通の語が入り、残りの1つには違う語が入る。1つだけ違う語が入る文の記号と、その語を答える。命令文,or~.、Both A and B、again and again、with a smile、be made from、stay withなどの基本的な表現が中心。4 長文読解。「奇妙な絵画が語る真実の物語」を描いた英文。適語・適文補充、代名詞、内容一致問題などが出題された。文脈・英文の丁寧な読解が求められる。5 長文読解。「英英辞典の歴史」に関する文章。適語・適文補充、同意語、整序英作文、内容説明、内容一致などが出題。4 同様、文脈・英文を丁寧に追う。出題形式・傾向はほぼ昨年と同じ。ただし3の昨年の出題は単語のアクセント問題であった。リスニングは出題されない。 大問1 、3にも列挙したが、基礎的な英語力が問われており、最低でも7割は正解したい。合格者平均点が80点近くに達する年もある。

数学

 大問が6題、小問数が18問でほぼ例年通り。1 小問集合(計算中心)、2小問集合、3以降は、文章問題、確率、関数、平面図形、空間図形から4題出題される。
 難関校の中では数学の難易度は決して高くなく、各分野から基礎レベルの出題が多い。例えば今年の空間図形は、切り口の線が描かれていて考えやすく、最後の体積を求める問題は比で簡単に解けるレベルだった。傾向は近年変わっていないので、考え方や公式を整理して過去問をしっかり解いてほしい。

国語

 大問2題構成。一 説明文(「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」ははきぎ帚木 ほうせい蓬生)、二 説明文(「日本経済新聞 夕刊」)。選択問題がほとんどで、記述問題は3題。平成28年度から大問二の文章が短くなり、その分100字程度で書く記述問題が出題されるようになった。
一 は題名通りの内容。小問10題中、記述問題は1題。二は音のバリアフリーについての話。日経新聞は平成24年にも出題された。小問7題中、記述問題は2問。記述問題は文章中の言葉が使えるので、さほど難しくはない。むしろ選択問題が難しい。豊島岡名物の紛らわしい選択問題を解くときの秘訣は、選択肢の1文を読点で分割し、分割したすべての内容が文章中に書いてあるか確かめることである。選択肢は一部書いてあるが、他は書いていないものと、オーバーに書かれたもの、文章中に書いていないが良いことが書いてあるものがある。すべて×なので気をつけよう。豊島岡女子の合格を勝ち取る秘訣は時間配分。豊島岡女子合格の秘訣は読むスピードと選択肢の冷静な吟味にあり。選択問題で悩んで時間を取られ、記述問題を白紙で出す者が多いので、100点満点中、6割しか取れないのだろう。今年の入試において、英数の合格点は8割だが、国語は6割5分。年によっても多少のばらつきはあるが、他の教科に比べ、国語の平均点は低くなりがちである。ということは豊島岡女子合格のカギは国語が握るといっても過言ではない。毎年読み応えのある、メッセージ性の強い名文を出題してくれる学校。凄腕の国語教師がいると見た。受験するしないにかかわらず、本校の入試問題を読んで理解することは、今後生きていく上で貴重な財産になる。

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